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大豆レジスタントプロテインの胆汁酸に対する分子識別
(京都府大・分子栄養) ○藤井尚人,鈴鹿智彦,佐伯 徹,金本龍平,岩見公和
【目的】 分離大豆タンパク質 (SPI) を微生物酵素で処理した後に残る不溶性“高分子画分” (high-molecular-weight
fraction,HMF) は,およそ25%の食物繊維類似の難消化残渣を含む。これを消化抵抗性のタンパク質,すなわち“レジスタントプロテイン(RP)”という。RPは或種の胆汁酸を選択的に捕捉する。今般RPの胆汁酸捕捉能について検討を加えた。
【方法】 HMFに充分なペプシン-パンクレアチン消化を施し,RPを調製した。RPの胆汁酸捕捉能は,平衡透析法によって市販のアッセイキットを用いて求めた透析膜を隔てた両室の遊離胆汁酸濃度差から算出した。また放射性胆汁酸を用いて,そのRP捕捉の各種胆汁酸による阻害を調べた。
【結果】 (a) 20%SPI (+7%セルロース),(b) 27%HMF,(c) 20%SPI (+7%RP)から成るコレステロール添加食で幼ラットを飼育して糞中コレステロール排泄量を測ったところ,胆汁酸排泄量は
(a)より(b) (c) 両群で有意に高く,コレステロール排泄量は(a)<(b)<(c)となった。このことはRPが腸腔で胆汁酸を捕捉してミセル形成を妨げ,コレステロールの吸収低下をもたらすことを示唆している。平衡透析実験の結果,RPはデオキシコール酸やケノデオキシコール酸に比べて,アミノ酸抱合体やコール酸あるいはウルソデオキシコール酸を殆ど捕捉しないことがわかった。それら胆汁酸に対するRPの特異性は,さらに[14C]ケノデオキシコール酸を用いた競合実験によって確かめられた。
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